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北久米遺跡9次調査(きたくめいせき)

    所在地  : 松山市北久米町
    調査期間: 2016(平成28)年2月22日~2016(平成28)年3月17日
    調査主体: 公益財団法人松山市文化・スポーツ振興財団 埋蔵文化財センター


    1.周辺の遺跡

     調査地は松山平野南東部、標高29.50mに位置します。北久米遺跡として8回の調査が行われ、 弥生時代から中世の集落関連遺構が確認されています。弥生時代では、北久米遺跡6次調査より後期の竪穴建物1棟、北久米遺跡2次調査からは後期中葉の竪穴建物1棟が検出されています。古墳時代では、同2次調査より古墳時代中期後半の掘立柱建物1棟、同6次調査からは6世紀初頭の古墳(二つ塚古墳は松山平野最大級の前方後円古墳である)の一部が検出され、北久米遺跡3次調査からは6世紀前半の土坑2基と6世紀中頃の土坑2基、同2次調査からは6世紀後期後半の竪穴建物1棟が検出されました。古代では、北久米遺跡3次調査より7~8世紀代の溝3条を検出しました。中世では、北久米遺跡3次調査より13~14世紀の土坑2基、同2次調査からは13世紀代の溝1条、同8 次調査からは14~15世紀の溝1条を検出し、土地の区割りを示す溝と考えられています。

     

    2.調査の概要

     今回の調査では、弥生時代の溝と土坑を検出しました。溝は幅0.76m、深さ32㎝の溝で、溝内には弥生土器の甕が投棄された状態で出土しました。また、土坑は円形状をなす土坑で、土坑内からは土器片が散在して出土しました。壁体の一部が袋状をなすことから本来、貯蔵穴として機能していたものと推測されます。ただし、遺物の出土状況より、最終的には割れた土器などの廃棄場として利用されたものと考えられます。なお、両者は出土遺物の特徴より、弥生時代中期後半の遺構と考えられます。古墳時代の遺構は未検出であるが、土師器や須恵器の破片が数点出土しました。

    〔まとめ〕 今回の調査では、弥生時代の溝や土坑のほか、古墳時代の遺物を確認しました。調査地東方に展開する弥生時代や古墳時代の集落域が、国道11号線以西にも広がっていることが判明しました。さらに、古代や中世の遺構・遺物の検出は、該期間の集落が調査地近隣に存在することを物語る貴重な資料といえます。

     

    写真
    調査地の位置
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