今回の調査は、本丸内の防火用水槽改修および消火栓配管埋設予定箇所が対象です。天守広場の配管埋設予定部分を1区、天神櫓前の1号水槽改修部分を2区、本丸基壇の3号水槽改修部分を3区と地区設定し、遺構の検出、また内容把握等を目的として調査を行いました。
今回の調査で検出した遺構は、1区より溝1条、切土法面及び地業、2区より土坑1基、溝1条、柱穴9基です。1区検出の溝は、検出長100㎝、上場幅72~95㎝、下場幅40㎝、深さ40㎝を測り、方位は東西方向と思われます。切土法面及び地業は調査区南部寄りで検出した。法面は調査区南端より手前3mより岩盤を南下がりに掘削していました。埋め戻された土砂は版築状に叩き締められていました。遺物はこれらの整地層より瓦片が出土しました。
2区で検出された柱穴は、規模から4種類に分類されました。
〔まとめ〕 今回の調査では、1区、2区において近世の遺構を確認することができました。1区で検出された溝は、トレンチの為僅かな長さの調査であり、溝の性格等については明確にできませんでしたが、溝の方向については、松山城本丸跡6次調査で確認された池跡方向を指していると考えられます。2区で検出した柱穴群の埋土からは天守基檀石垣に使用している花崗岩の砕片が出土していることや、深さ68~101㎝の規模の柱穴(6基)は、柱間が2.4m、3mの2種類の間隔を測るが、東西、南北方向に一直線上に並んでおり、ほぼ天守基檀石垣と並行していることなどから、石垣構築時には機能していたものと考えられるが想像の域は越えません。3区において遺構は検出されませんでした。絵図を確認してもこの位置する部分には建物等は描きこまれていません。遺構が検出されなかったことも一つの成果となりました。
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