埋蔵文化財センター情報館-平井遺跡10次調査 遺跡説明資料
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平井遺跡10次調査(ひらいいせき)

    開催日
    遺跡名
    サイズ
    DL
  • 平成27年9月16日(水) 未開催
  • 平井遺跡10次調査

    1.90 MB

    PDF
     所在地: 松山市平井町甲2335番・甲2336番1・甲1337番の各一部
     調査面積: 142.23㎡
     調査期間: 平成27年8月17日(月) ~ 平成27年9月16日(水)
     調査主体: 公益財団法人松山市文化・スポーツ振興財団埋蔵文化財センター
    1.はじめに

     調査地は松山平野東部を西流する小野川と堀越川によって形成された扇状地上の標高58m前後に立地します。周辺には北の丘陵部には6世紀後半の築造と推定される平井谷1号墳などの古墳群、北東の丘陵麓部では7世紀初頭の茨谷1号窯をはじめとする、松山平野南東部古窯址群など、古墳や窯址が数多く存在しています。また、平野部では古市遺跡から下苅屋遺跡にかけて、弥生時代前期から古代頃まで機能していた大規模な自然流路を検出しており、その両岸付近では古墳時代後期を中心とした竪穴式住居や掘立柱建物などから構成される集落遺構が確認されています。
    調査地東に近接する遺跡としては、「松山市道小野160号線道路改良工事」に伴う事前の発掘調査において、平井遺跡3次、および南東には平井遺跡5次~7・9次調査が行われており、弥生時代から中世の遺構、遺物がみつかったことから、当地周辺は窯業生産と自然流路を利用した流通にかかわる集落や集落の変遷を考えるうえで重要な地域となっています。

    2.調査の概要

    調査では、6世紀後半以降(古墳時代後期)の集落に関連する遺構が見つかりました。
    見つかった遺構は、掘立建物2 棟、溝2条、土坑1基、柱穴9基、性格不明遺構1 基です。 遺物は縄文土器、弥生土器、土師器、須恵器、鉄製品(石斧)そのほか石製品(石庖丁)が出土しています。

    3.わかったこと
     今回の調査では、古墳時代後半から中世の集落関連遺構や縄文時代から中世までの遺物を確認しました。
     調査地周辺は小野川による氾濫の影響を受け、にぶい黄橙色砂質土の上層に、にぶい黄橙色砂に5 ~ 12cm大の円礫を含む礫層群が堆積していました。この土層の上に遺跡が作られていました。また、その上には遺物を多く含まれる古墳時代後半~古代の土層が堆積し、その上には調査区全体に広がる中世の土層が見つかりました。
     調査では掘立柱建物、大規模な自然流路、溝、土坑そして柱穴などが見つかりました。これらの建物や柱穴は、東西に流れる自然流路の南北両岸で見つかっています。また、中世の建物は自然流路の上に作られています。おそらく、古墳時代の中頃から終わりにかけて両岸に集落が形営まれ、この自然流路も集落の人々に利用されていたと思われます。
     この自然流路は幅約13~15m程の大きなもので、特に見つかった遺物には須恵器の焼成不足の不良品が目立って採取されています。このことから、近くで見つかった下刈屋遺跡で言われている、須恵器生産地と消費地を結ぶ間接的な集落との関連が想定されます。そのほか、この自然流路からは弥生時代中期後半と考えられる土器群が出土しており、自然流路の時期は詳細な検討の中においてさらに検討を加える必要があります。
     今回の調査により古墳時代後半から中世にかけての集落関連遺構を検出したことは、今まで調査地周辺で行われた、平井遺跡関連調査の結果を追認する事となり、小野・平井地区における弥生時代から中近世までの集落様相を解明する資料を得ることができたことは、貴重な調査成果といえます。
    写真
    耳環・管玉が出土した様子 耳環・管玉が出土した様子 耳環・管玉が出土した様子
    遺構完掘状況
    (北より)
    SR1完掘状況
    (北より)
    SR1遺構掘り下げ風景
    (西より)
    耳環・管玉が出土した様子 耳環・管玉が出土した様子 耳環・管玉が出土した様子
    SR1、SD1、2断面状況
    (西より)
     SR1出土遺物
    (弥生壺形土器)
    SR1出土遺物
    (弥生矢羽根付高坏)
    調査地の位置
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