2023年3月22日 更新
松山市民会館アラカルトをご覧いただき、ありがとうございます。
今回も小ホールの能舞台についてお届けします。
能舞台を正面から眺めると、どっしりとした幹と立派な枝ぶりをした、緑鮮やかな松の絵が目に入ってきます。
この絵は、鏡板(かがみいた)と呼ばれる幅5.4m×高さ2.5mの桧板に岩絵の具で描かれたものです。
珍しいことに、鏡板に描かれる松には必ずと言っていいほど、コケが描かれています。松にコケが貼りついているということは、長い年月を生きてきたということを意味し、長寿や子孫繁栄を表しているとされています。
コケは、昔から松や梅が描かれた日本画にも登場しているため、日本人にとって身近な存在であったと同時に、目立たないけれどもおめでたい存在と思われていたのかもしれません。
もし能や狂言を見る機会があれば、ぜひ開演前の時間を利用して、鏡板に描かれた松の絵をじっくりご覧ください。
見えにくいかもしれませんが、幹や枝にびっしり貼りついたコケもお忘れなく。
それでは、今回はこのあたりで・・・
また、次回をお楽しみに!