現在の松山市立北中学校の開校に先立って調査した遺跡から出土したもので、縄文時代晩期頃のものと考えられます。土器は形を推定して復元したもので、口径約16cm、胴径約43cm、高さ約44cmを測ります。
丹塗りの壷の頸部から肩部にかけて『八つ手の葉』状に施文されていることが最大の特徴で、この施文は顔料を用いたものではなくて、炭素を吸着させることによって施されたものであることが分かっています。
また、このような彩文土器は国内には類例がなく、形態や技法のうえでやや異なっていますが、朝鮮半島の慶尚南道泗川郡からの出土例が知られています。ちなみに、韓国ではこの施文がされた土器が食べ物の“なすび”にそっくりなことから、この施文のことを『カジ(=なすび)文』と呼ぶそうです。
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