別府遺跡4次調査の発掘調査説明会のご案内

投稿者| hajiki in お知らせ, 未分類, 現地説明会, 発掘調査・試掘調査 | コメントを残す

 調査は、正尺池の老朽化による改修工事に伴う発掘調査です。
 調査地は、北条平野南部を西流する高山川の周囲に広がる沖積地の標高14~16mに位置します。
 正尺池の調査は、池の堤防内側の裾に沿う範囲の調査で、平成29年度の別府遺跡2次調査と3次調査で堤防の南側と北側、今年度に実施した4次調査で西側と北側を調査しました。なかでも3次調査は、平安時代末から鎌倉時代初め頃の溝や柱穴が見つかっており、地元で焼かれた素焼きの土器や国内の産地で焼かれた陶器、中国から輸入された磁器などが出土しました。
 今回の4次調査では、木製の樋(とい)や石垣などが見つかりました。樋は半分に割った丸太をくり抜いて水を流す構造で、長さ6.5m掘り出しましたが、さらに調査区の外にも延びています。上の層から出土した土器から鎌倉時代から室町時代頃か、それよりやや古い時代と推測しています。また、石垣は、長さ約34mでその両端はさらに延びています。石を4~7段積み上げています。現時点では石垣の用途はわかっていませんが、現在わかっている石の組み方や構造は、室町時代後半ころに盛んに作られたものに類似しています。
 
 調査は終盤になっていますので、この機会に池が造られる前の人々の痕跡を見学していただくために発掘調査説明会を現地で行いますので、ぜひご参加ください。

据えられた状態で見つかった木の樋(とい)

東西方向に直線的に延びる石垣

日 時 : 平成30年11月11日(日) 午前11時30分~12時30分 (受付は午前11時~)
場 所 : 松山市河野別府 (下に掲載の案内チラシに地図あります)

※なお、現地説明会会場には見学者の自動車を駐車するスペースがございませんので、公共交通機関をご利用願います。

松山城三之丸跡21次調査の発掘調査説明会のご案内

投稿者| hajiki in お知らせ, 未分類, 現地説明会, 発掘調査・試掘調査 | コメントを残す

 只今、松山市堀之内で発掘調査を実施しており、今回が21回目の発掘調査となります。
 今回は、江戸時代の土地区画を確認することを目的に、三之丸御殿東辺付近を調査した結果、明治以降に造られた旧日本陸軍の兵舎跡のすぐ下から、石組2条が発見されました。この石組は直線的に角石を並べて屈曲したものと弧を描く様に丸石を並べたものが見つかりましたが、旧日本陸軍の建物を造る時に一部の石は取り除かれた状態でした。この石組は江戸時代の絵図にある三之丸御殿東辺の石で組まれた溝の一部と考えられます。
 発掘調査説明会に参加していただき、江戸時代に造られた遺構や出土した遺物などを見学して、当時の三之丸にタイムスリップしてみてはいかがでしょうか。

調査風景

発見された石組

日 時 : 平成30年10月27日(土)午前11時~12時(受付は午前10時30分~)
場 所 : 松山市堀之内(下に掲載の案内チラシに地図あります)

※なお、現地説明会会場には見学者の自動車を駐車するスペースがございませんので、公共交通機関をご利用願います。

松山外環状線道路建設に伴う発掘調査で発見された中世の遺物(国内産)

投稿者| hajiki in 出土物整理, 発掘調査・試掘調査 | コメントを残す

地元で生産された土釜(左)と土師器の坏(右上2点)や皿(右下2点)

近畿地方で生産された瓦器の椀(左上)、瓦器の皿(左下)、須恵器のこね鉢の破片(右2点)

 松山外環状道路建設に伴う遺跡の発掘調査は、余戸、東垣生町、南吉田町の約1.3kmにかけて実施しました。なかでも余戸と東垣生町では、遺構や遺物が数多く見つかり、平安時代末から室町時代にかけての中世頃の集落跡や水田跡が見つかりました。
 今回は、集落内から出土した中世の遺物(国内産)をご紹介します。
 土師器のわんつきさらなどの食膳具や土釜どがま土鍋どなべなどの調理具などは、殆どが地元産でありましたが、瓦器がき須恵器すえき陶器とうきなどは国内各地で作られたものなどが出土しました。この頃の日本は国内産の物品の流通が盛んで、瀬戸内海は流通の大動脈でありました。瓦器の椀や皿、須恵器のこね鉢などは近畿地方、陶器は東海地方から中国地方で生産され、松山まで運ばれて来たのが出土した遺物の特徴から分かりました。

 

 

 

筋違S遺跡の調査について

投稿者| doguu in 発掘調査・試掘調査, 遺跡紹介 | コメントを残す
筋違S遺跡の調査について

 調査地は、伊予鉄道福音寺駅より北方へ約110mの地点に位置し、標高29.2mに立地します。周辺の遺跡には、福音寺遺跡竹ノ下地区、福音小学校構内遺跡、筋違すじかい遺跡、乃万の裏遺跡、北久米常堰遺跡、北久米浄蓮寺遺跡など弥生時代から中世にかけての集落遺跡が多数分布している地域です。調査は、平成30年7月2日から同年7月30日までの一ヶ月間、調査面積約149㎡を行いました。調査の結果、掘立柱建物址2棟(掘立1・2)、土坑3基、柱穴41基を検出しました。
 掘立1は、全容は不明ですが、東西3間、南北2間までを検出しました。おそらく南北方向も3間と考えられ、3間×3間の正方形に近い柱穴配置をしていると考えられます。
 掘立2は、東西3間、南北1間の長方形の柱穴配置をしていました。

 

 この2棟の掘立柱建物址には、同じ場所で重なって検出されたことにより、建物の利用期間には時期差があるものと考えられます。建物の時期や性格などについては現在整理作業を行っています。

道後今市遺跡16・17次調査

投稿者| kidai in 発掘調査・試掘調査, 遺跡紹介 | コメントを残す

 道後今市遺跡16・17次調査は、県民文化会館の東側のマンション建設地で平成29年9月~12月にかけて調査を行いました。

道後今市遺跡16次調査

 調査区を調査地北部西側、また調査地北東部を東西と中央を南北とL字状に調査区を設定し、それぞれ1 区、2 区と調査区名称を割り当てました。

道後今市遺跡16位置図

道後今市遺跡16次調査位置図

 この調査では、主に中世の遺構を確認しました。そのほか弥生時代~古墳時代遺構は若干数ですが確認できました。遺構は、溝4条、土坑7基、柱穴86 基でした。また遺物は弥生土器、土師器、瓦器が出土しました。

 遺構の大半は中世の遺構であり、周辺に存在する中世集落が本調査地にも広がることがわかりました。道後今市遺跡16次調査1 区では調査地の北西に当たるところで多くの土坑や柱穴、溝が検出されたことから、中世集落の存在は調査地北部の西側にその広がりがあり、広がりは調査区南部に向かって希薄になっていくことがわかりました。

道後今市遺跡17次調査

 調査からは、弥生時代~戦国時代の遺構・遺物が出土しました。その中で弥生時代の土器溜まり・弥生時代~古墳時代の溝・戦国時代のお墓を見てもらいます。

弥生時代から古墳時代の溝

南西~北西(左下から右上)の方向に11条の溝が見つかりました。

弥生時代の土器溜まり

弥生時代中期後半~後期前半(約2000年前)に川岸の窪地に弥生土器を多量に廃棄した土器溜まりが2カ所で見つかりました。

戦国時代のお墓

戦国時代(約400年前ごろ)のお墓から、頭蓋骨と副葬品の土師器の坏2点、皿1点が見つかり坏の1点は中央部に、半分に割り重ねた状態で折り曲げた足の膝付近の上部で見つかりました。


「掘ったぞな 松山2018」

会 期

平成30年7月14日(土)→9月2日(日)

会 場 松山市考古館 特別展示室
開館 時間  9:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日 月曜日 〔7月16日(月・祝)を除く〕 ・ 7月17日㈫
観覧料 無料
概 要

 平成29年度に松山市内で発掘調査した遺跡やその出土品、平成29年度に刊行した調査報告書に掲載した考古資料などを展示します。
<主な展示品>
 ・松山城三之丸跡20次調査出土の陶磁器
 ・船ヶ谷遺跡5次調査出土の耳飾り

筋違Q遺跡の地鎮遺構について

投稿者| kidai in 発掘調査・試掘調査, 遺跡紹介 | コメントを残す

昨年度、刊行した報告書「筋違M遺跡・筋違Q遺跡」の中から地鎮遺構じちんいこうを紹介します。地鎮遺構は地中に穴を掘り、土器をおさめ「マツリ」をした跡です。

この写真は、筋違Q遺跡の地鎮遺構の出土状況です。土師器の皿や坏が重なり合って20個体以上出土しました。
この写真は、筋違Q遺跡の地鎮遺構から出土した鎌倉時代の土師器の皿です。

 

現在の地鎮は、地中にものを埋めるのではなく、地上にて建物を新築する際に地神に、工事の安全を祈願する「地鎮祭」が広く行われています。

出土した遺物は、現在行っている「掘ったぞな 松山2018」で展示しておりますので、ぜひご覧ください。

「掘ったぞな 松山2018」

会 期

平成30年7月14日(土)→9月2日(日)

会 場 松山市考古館 特別展示室
開館 時間  9:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日 月曜日 〔7月16日(月・祝)を除く〕 ・ 7月17日㈫
観覧料 無料
概 要

 平成29年度に松山市内で発掘調査した遺跡やその出土品、平成29年度に刊行した調査報告書に掲載した考古資料などを展示します。
<主な展示品>
 ・松山城三之丸跡20次調査出土の陶磁器
 ・船ヶ谷遺跡5次調査出土の耳飾り


「掘ったぞな松山2018」報告会1

投稿者| hajiki in 出土物整理, 展示会, 発掘調査・試掘調査 | コメントを残す
 『掘ったぞな松山2018』開催中。

 

「掘ったぞな松山2018」の第1回目の報告会を7月28日(土)13:30~15:30の間で行ないます。 今回は平成29年度に調査をした「祝谷大地ケ田遺跡8次調査」、「鶴塚古墳」の発掘成果について調査担当者が報告をします。暑い中ではございますが、無理しない程度で参加をお願いいたします。以下、報告する遺跡の紹介です。


祝谷大地ケ田遺跡では、祝谷11号墳や弥生時代の土坑などが見つかっています。祝谷11号墳は2基の横穴式石室が見つかりました。2基とも後世の開発により壊されていましたが、土器や鉄器などの副葬品が出土しています。

調査前の大地ケ田遺跡8次調査地(西より)

同じく11号墳の調査風景です(北より)。内の土取りに掃除機が活躍しています。

祝谷11号墳 1号石室調査風景(南より)。

調査地全景(西より)。手前が1号石室。左上が2号石室。

 

 


鶴塚古墳は全長42.5mの周溝を伴う前方後円墳です。埋葬施設は後世の開発のためすでに失われていました。周溝の一部の調査では埴輪や須恵器などが出土しています。埴輪の中には、松山市で出土例の少ない石見型盾形埴輪と呼ばれる埴輪片が出土しています。このほか、後円部で見つかった弥生時代の包含層からは、弥生時代中期後半頃の土器がたくさん出土しています。

鶴塚古墳(上空より)。当時の人たちでは見れないと思われるポジションです。前方後円墳、この形を誰に見せたかったんでしょうね。

石見型盾形埴輪です。

 

 

 

「掘ったぞな松山2018」始まりました。

投稿者| hajiki in 出土物整理, 展示会, 発掘調査・試掘調査 | コメントを残す
                                                      『掘ったぞな松山2018』の展示が7月14日(土)より開幕

 

開催期間 平成30年7月14日(土)~同年9月2日(日)

報告会1 平成30年7月28日(土)13:30~15:30 

「祝谷大地ケ田遺跡8次調査の発掘調査成果について」

「新たに確認された前方後円墳『鶴塚古墳』の発掘調査成果について」

報告会2 平成30年8月25日(土)13:30~15:30 

「別府遺跡3次調査の発掘調査成果について」

「松山城三之丸跡20次調査の発掘調査成果について」

 こんにちは、平成30年度の「掘ったぞな松山2018」の展示が7月14日土曜日より始まりました。昨年度調査を行った遺跡や報告書を刊行した遺跡の出土品を展示しています。縄文時代から江戸時代までのいろいろな遺物や松山平野では珍しいものも展示していますので是非見に来てくださいね。お待ちしていま~す。

展示準備風景です。まずは写真パネルを設置します。

出土品の位置やキャプションの置き場所を考えながら配置していきます。別府遺跡3次調査の出土品です。

準備完了です。入口付近の様子です。

写真、解説パネル、出土品の位置などを見やすく配置したつもりです(^^。

これは私が調査を行った船ケ谷遺跡5次調査で見つかった古墳からの出土品です。

船ケ谷遺跡5次調査で出土した弥生時代後期の壺棺です。壺棺1から出土した銅鏃も展示してます。


 

「掘ったぞな 松山2018」

会 期

平成30年7月14日(土)→9月2日(日)

会 場 松山市考古館 特別展示室
開館 時間 9:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日 月曜日〔7月16日(月・祝)を除く〕 ・ 7月17日㈫
観覧料 無料
概 要

 平成29年度に松山市内で発掘調査した遺跡やその出土品、平成29年度に刊行した調査報告書に掲載した考古資料などを展示します。
<主な展示品>
 ・松山城三之丸跡20次調査出土の陶磁器
 ・船ヶ谷遺跡5次調査出土の耳飾り

 

掘ったぞな松山2018の準備作業②

投稿者| hajiki in 出土物整理, 発掘調査・試掘調査 | コメントを残す
                                                       掘ったぞな松山2018準備作業        

 こんにちは、還暦がちらついてきたtakatsukiです。平成30年度の「掘ったぞな松山2018」(7月14日(土)より開催予定)の展示に向けて準備作業を行っています。この作業を担当したのは3年前の一回ポッキリ。忙しかったのは覚えてますが・・何をやったのか忘れています。写真は展示に向けたパンフレットや展示パネル解説文などの作成風景です。わかりやすい展示解説を心掛けて制作しています。が、この「わかりやすい」が一番難しい(・・;) いろいろあって・・・これに時間がかかるんですよ。しかも、パソコンとにらめっこしながら作ってるので目も辛いんです。でも、担当者が苦しんでいたら楽しい展示にはならないので、考古館の学芸さんや整理員さんと一緒に楽しみながらやらせていただきます 。

『掘ったぞな松山2018』は7月14日(土)から開催予定です。

画面とにらめっこしながらパンフレット作ってます。

本展示に向けて展示遺物の配置を予定しときます。

 遺物展示のセンスがありませんので考古館の学芸員さん、整理員さんの意見に従がいます。

こちらは、船ケ谷遺跡5次調査の三ツ石古墳3号墳の横穴式石室の副葬品です。須恵器がたくさんあります。

 

 

掘ったぞな松山2018の準備作業①

投稿者| hajiki in 出土物整理, 発掘調査・試掘調査 | コメントを残す
                                                       掘ったぞな松山2018準備作業        

 こんにちはtakatsukiです。平成30年度の「掘ったぞな松山2018」(7月14日(土)より開催予定)の展示に向けて準備作業を行っています。写真は道後今市遺跡17次調査や鶴塚古墳で出土した弥生土器の復元作業の様子です。展示に向けて頑張って作業をしていただいてます。ここで立派に復元されたものが展示ケースに並ぶ予定です。

『掘ったぞな松山2018』は7月14日(土)から開催予定です。

只今、土器の復元作業中!

鶴塚古墳の後円部から前方部の一部にかけて弥生時代の遺物包含層が残っていました。写真は包含層から出土した土器です。綺麗に復元されてます!右側の土器は吉備地方の土器です。松山平野での出土は珍しいんです。

こちらも鶴塚古墳で見つかった弥生時代の土器です。鶴塚古墳といいながら弥生時代中期後半~前期初頭の立派な弥生土器がたくさん出土してます(´・ω・`)

こちらは道後今市遺跡17次調査の土器溜まり遺構から出土した壺や甕などの弥生土器です。鶴塚古墳で出土した土器と形がよく似てます。時期がほぼ一緒だから(^^♪