こんにちは、スタジオです。
今回は、遺跡から出土した土器などを写真で記録する仕事についてご紹介します。
調査で出てきた遺物は、洗浄・復元の後、図面や写真、文章などでしっかり記録します。時には消失することもある物の姿を、全てとはいえないにしろ「記録保存」します。その情報は、実物に代わっていつでもどこにでも伝えられますが、写真は、撮り方・掲載の仕方によってずいぶん印象が違ってきます。
写真1 |
「写真1」は、束本遺跡4次調査の発掘調査報告書で撮影・使用したものです。
遺物の形や色がよくわかるように、ガラスの上に載せて影を出さないよう撮影しています。
写真2 |
「写真2」は、写真1の下段左から2番目の石器です。
昨年出版された、埋文センター30周年記念誌『発掘 松山の至宝』用に改めて撮影しました。
全長8㎝の小さな物の存在感を出すために、硬めの光で加工痕を強調し、あえて立たせて影を出しています。
この石器の写真は、狩りの道具の代表として丸々1ページを飾ることになりました。
地味で小さな遺物なので、もう少し見栄えを良くするために背景を工夫して、本に採用したのが「写真3」です。
写真3 |
遺物を引き立たせるためと本全体のバランスを考えて、派手な色の背景は使いません。
遺物写真の基本は、形や色や作り方などをなるべく客観的に表すことですが、使用目的によっては優先させる要素が変わってきます。難しいこともありますが、ライトを当てた遺物が想定以上の姿を見せてくれるときは、嬉しいものです。