祝谷大地ヶ田遺跡9次調査

投稿者: hajiki in 発掘情報展, 発掘調査・試掘調査, 遺跡紹介 | コメントを残す

 調査地は、松山市祝谷五丁目の埋蔵文化財包蔵地『No,55 祝谷大地ヶ田遺跡』内の丘陵緩斜面上に位置します。祝谷大地ヶ田遺跡では、これまでに弥生時代前期から中期の土坑群や、古墳時代中期の前方後円墳(祝谷9号墳)、装飾付須恵器や装飾付大刀が副葬された古墳時代後期の横穴式石室などが見つかっています。
 今回の発掘調査は、令和2年7月から同年8月にかけて実施し、遺構や遺物包含層中より弥生時代から中世(一部に江戸期)の遺構や遺物が見つかりました。主な遺構は、溝3条、土坑19基、小穴68基、性格不明遺構3基で、弥生土器、石器、ガラス小玉、土師器、須恵器、陶器が出土しました。SK3は、平面形が1.15×1.05mの楕円形、深さ70~77㎝の土坑(貯蔵穴)で、下層から弥生時代中期の土器が出土しました。SX3は、SD1やSD2よりも新しい時期の遺構で、平面形が長辺4.10m×短辺1.80mの隅丸長方形状をしています。平坦な底面に柱穴と考えられる小穴を6基配置しており、弥生土器、サヌカイト剥片、土師器、古墳時代後期の須恵器などが出土しています。SK11は、平面形が1.20×0.80mの歪な楕円形をした土坑で、内部から弥生土器片が出土しているほか、赤色顔料、ガラス小玉(約40個体分)が出土しました。その特徴より弥生時代中期のガラス小玉である可能性が高く、非常に貴重な資料を得ることができました。

 出土品の一部は、松山市立考古館ロビーの発掘情報展コーナーにて、令和2年12月27日(日)まで展示しています。

遺構完掘状況(北より)

SK11ガラス小玉出土状況(西より)

 

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