中国で作られた天目(てんもく)茶碗
前回のブログで紹介した松末栄松遺跡から天目茶碗というお茶碗が出土しました。このことについて調べたことを書いてみたいと思います。
このお茶碗は、天目釉(てんもくゆう)とよばれる鉄釉をかけて焼かれたもので、釉薬の中の鉄分によって黒く発色します。
釉(うわぐすり)は焼きものの生地にコーティングするもので、これをかけたり塗ったりして焼くことで、光沢のある焼きものになります。みなさんのお家で使っているお茶碗や湯飲みには白や黒、藍色などいろいろな色の釉がかかっていると思います。
天目茶碗は元々、茶葉の産地であった中国の天目山(現在の浙江省)一帯の寺院で用いられた茶道具でした。日本へは、天目山の寺院に修行に行った禅宗の僧が喫茶の道具として持ち帰ったものと言われています。
中国の南宋時代(1127~1279年)に焼かれたものの中には、釉の中に雨が降っているようなすじ状のものや油を滴らしたような模様がついて、光の加減で美しく輝くものもあります。その中で大小の斑点が満天の星のように散りばめられ、瑠璃色や虹色の縁取りを持つ曜変(ようへん)天目とよばれるお茶碗があります。これは天目茶碗の中でも最上級とされ、現在、完全なものは世界に4点しかありません。それが全部日本にあり、3点が国宝、1点が重要文化財に指定されています。
南宋時代の中国では白磁や青磁といった磁器も焼いています。この頃の日本では陶器に釉をかけたものはありますが、磁器を作るのは、まだまだ先のことになります。
これを見るだけで当時の中国の技術力の高さには目を見張ってしまいますね。
今回、中国産天目茶碗の写真は掲載できなかったので、松末栄松遺跡の瀬戸・美濃焼天目茶碗の出土状況写真を載せています。
さて、日本の天目茶碗については次回のブログで紹介しますので、ぜひ読んでください。 (S)
松末栄松遺跡 天目茶碗出土状況