南江戸上沖遺跡は平成27年9月~平成28年7月まで発掘調査(屋外調査)を行いました。
南江戸上沖遺跡からは、鎌倉時代の建物を区画する溝が見つかっています。現在は、報告書作成のための整理作業(屋内整理)を行っています。その中で見つかった遺物について紹介いたします。
今回は、井戸から見つかった石製の鍋です。口頸部に釜のように鍔状の突帯を巡らします。
石鍋・いしなべ(滑石製)復元口径28.6㎝、厚みは1.4㎝を測る。
石鍋の産地は、長崎県西彼杵(にしそのぎ)半島で製作されたものが多く、製作所の規模も最大で、製作所跡が24カ所で確認されています。今回の出土品も長崎県産と考えられます。滑石は硬度1の軟質の鉱物であり、加工がしやすく保温性に富む特徴があります。滑石製の石鍋は、平安時代末から中世に西日本に、広く流通した厨房具(ちゅうぼうぐ)です。