別府遺跡4次調査で出土した石垣のこと

投稿者: sekifu in 発掘調査・試掘調査, 遺跡紹介 | コメントを残す

 前回ご紹介した木樋に続いて、今回は石垣について少し詳しく説明したいと思います。

 出土したのは調査範囲の北側で、調査区の西端(にしはし)から東端(ひがしはし)までずっと続いていて、約33.8m分を発掘しました。両端とも調査範囲の外に延(の)びているので、実際はもっと続きます。

 石垣の根石(一番下の石)は地面に掘った小溝の中に敷き並べ、その上に傾斜角度約60°でこぶし大から30cmを超えるような自然石をうまく組み合わせながら4~10段ほど積み上げて築いています。高さは西端で74cm、東端は103cmです。

 自然石をそのまま積み上げる石垣を「野面(のづら)積み」と言います。この積み方は鎌倉時代終わり頃から始まり、江戸時代前半頃まで続いた方法で、とくに戦国時代の山城などに盛んに用いられました。

 しかし今回発掘した石垣が築かれた時代は、木樋以上に決め手になる土器などが出土していないので不明です。さらに何のために築かれたのかも、今のところ分かっていません。

 調査をしたのが溜(た)め池の中ということで、堤防の護岸ではないかという意見もありますが、木樋が出土した西側堤防や昨年度調査をした南側堤防の裾からは出土していないので、そう考えるのは少し難しい状況です。

 石垣が出土した北側堤防と西及び南側堤防の違いを見てみると、西・南側堤防は川を堰(せ)き止めて溜め池を作るために平地に新しく築いたものです。一方北側堤防は東西に延びる自然の尾根裾を利用したものです。この違いが石垣の性格を解明するための条件の一つになるのではないかと考えています。

別府遺跡4次調査出土の石垣全景(東より)

別府遺跡4次調査出土の石垣東端(南より)

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