松山外環状道路建設に伴う遺跡から出土した国内で生産された器をご紹介しましたが、今回は大陸から海を渡ってきた磁器の一部をご紹介します。
当時の磁器は貴重品で、発掘調査での出土量も国産品の土器や陶器などに比べて、希少であります。今回紹介する青磁の碗は中国の龍泉窯、皿は同安窯で焼かれたものと推定しています。龍泉窯は現在の浙江省、同安窯は福建省にあり、おもに青磁を焼いていた地方窯です。青磁とは、鉄を呈色剤とする釉薬を掛けて焼成した磁器で、窯内部の酸素が不足した状態で焼成することで、釉薬や胎土に含まれる鉄分が酸素を奪われ、青く発色します。成分や焼成環境の違いで、黄色や緑色などに色合いが変化します。
写真1の碗は薄い青色ですが、写真2の皿は黄色を帯びており、色調や形状、模様などで焼かれた窯の特徴が窺えられます。