埋蔵文化財センターでは、松山市余戸、東垣生、南吉田町内において平成26年度から28年度までの間に、松山外環状道路(空港線)整備に伴う 埋蔵文化財発掘調査を行いました。調査の結果、弥生時代前期(約2,300年前)から室町時代までの遺跡を数多く発見しました。
今回このブログでは松山市埋蔵文化財センターが行った4遺跡(12次調査)について、4回シリーズでご紹介します。
掲載予定遺跡
- 第1回 余戸中の孝遺跡〔1・2・4・5次調査〕
- 第2回 余戸柳井田遺跡〔1・2・3・6次調査〕
- 第3回 東垣生八反地遺跡〔1・3・4次調査〕
- 第4回 南吉田南代遺跡〔1次調査〕
余戸中の孝遺跡〔1・2・4・5次調査〕
遺跡からは、古墳時代から鎌倉時代の集落関連遺構や遺物を発見しました。余戸中の孝遺跡5 次調査では古墳時代中期後半の竪穴建物1 棟と後期後半の溝が検出され、竪穴建物からは市場系の須恵器(壺・高坏)などが出土しました。中世では鎌倉時代の掘立柱建物や溝、土坑が検出され、4 次調査では曲物を使った井戸址、1 次調査からは人骨が出土した土坑墓などが発見されています。
遺物は土師器の坏や皿、瓦器(がき)の椀、中国産陶磁器(青磁・白磁)などが出土しました。
幅40 ~ 80㎝、深さ20 ~ 40㎝、外径5.5 mの円形状に掘削された溝を伴った墓で、中央部には棺を埋葬した墓坑が掘られています。このような形態をもつ中世墓の検出は、愛媛県内では初例です。
D 区の井戸は、直径2 m、深さ1.3 mの穴の中に、曲物を井戸枠として使用していました(時期:13 世紀)。
次回に続きます。