前回、書かせて頂いた「ニョロニョロ」の続きとなりますが、20世紀後半はより強い筋肉を手に入れる事でパフォーマンスを高め、記録を向上させる事に関心が集まりました。筋肉を肥大させ、力強い筋肉で記録を向上させる事が主流だったのです。ところが21世紀に入り明らかに流れが変わってきたのです。
ドーピング検査で禁止物質が検出すれば厳しい制裁が課せられるようになり、筋肉を極限まで強化し切ったそれまでのパフォーマンスを越えるには、より素早く、よりスムーズな動作が可能になるよう、できるだけ脱力し身体を緩め、「グニャグニャ」と身体を可変的に動かし、その身体を上手くコントロールしながら、その動作から生まれる新しい出力でパフォーマンスを向上させる方向に変化してきたのです。
グニャグニャと動く赤ちゃんの動きをヒントに、筋肉に頼らない新しいフォームの開発で、38歳になっても世界の第一線活躍するハンマー投げの室伏選手。首を左右に振り、着地と蹴りのつどに骨盤も左右に大きく揺れグニャグニャと走る〝トカゲ走法〟とも呼ばれている男子100m世界記録保持者ウサイン・ボルト選手。8月10日(土)開幕の世界陸上モスクワ大会が今から楽しみです。