スポーツの試合やプレゼンテーション、演劇の発表会など、いわゆる大舞台で「緊張してうまくできなかった」という経験は誰にでもあると思います。
また逆に「集中力が途切れた」「ボーっとしていた」ために失敗したという経験もあると思います。
上の図は「ヤーキスとドットソンの逆U字仮説」のグラフで心理学の基本法則です。
いつものようにスポーツに置き換えてみましょう。
横軸の覚醒レベルは数字が大きくなるほど緊張の度合いが高くなることを表します。
縦軸のパフォーマンスは数字が大きくなるほど良いパフォーマンス(結果)を表します。
つまり緊張しすぎても、リラックスしすぎてもスポーツの結果は良くありません。
ほどよい緊張感が良いパフォーマンスを生むということです。
しかしこのU時曲線、課題の難しさやスポーツの種目によって上のように3つのグラフに分かれます。
たとえば室伏浩二選手が出場するハンマー投げ。ほんの数秒の間に非常に高い集中を必要とされる競技は青いグラフ。
つまり緊張が(興奮が)高いほど良いパフォーマンスが発揮できます。
あの雄叫び、リラックスした状態ではとても出てこないですよね。
三宅選手が銀メダルを取った重量挙げもしかり。
逆にアーチェリーや射撃など、緻密さが必要な競技は赤いグラフ。
落ち着いてリラックスした方がより緻密な身体のコントロールが行えます。
サッカーやバスケットボールなど一定の緊張感を長時間持続する競技は緑の曲線になります。
サッカーには集中力が必要ですが、ヒトは決して90分間も集中した状態は続きません。
リラックスするところはリラックスし、集中する時には集中できるのが一流選手です。
競技によって、また場面によって、スポーツには適度な覚醒レベル(緊張の度合い)があるということですね。
近頃のハイビジョンテレビは選手の細かな表情まで、実によく映し出してくれます。
ヒトの覚醒レベルは呼吸数、汗、瞳の動き、しぐさなど、必ず身体に何かしらのサインとして現れます。
このロンドンオリンピック。試合前あるいは試合中の選手の表情やしぐさから、緊張しているのか、それとも集中力を欠いているのか、読み取ってみてはいかがでしょう。
また今までとは違った切り口で、スポーツを見ることができますよ。
ただ世の中にはこのグラフに当てはまらない型破りな人もいます。
代表するのは「長嶋茂雄」
彼は覚醒レベルが上がれば上がるほどパフォーマンスが上がりました。
天覧試合での逆転ホームランを初め、普通の選手なら緊張して萎縮してしまいそうな大舞台ほどミスターのパフォーマンスは上がりました。
彼の通算打率は305、天覧試合は514
う~ん、やっぱり長嶋茂雄は偉大ですね。