(小学生おけいこ教室「お琴教室」)
当財団では伝統文化に対する関心や理解を深め、豊かな人間性を育むことを目的とした文化振興事業を実施していますが、先日、松山市民会館で行われた「お琴教室」にも多くの子どもさんにご参加いただき、和楽器の素晴らしさや美しい音色を体験していただきました。
琴(こと)で演奏する有名な曲の一つに「六段の調べ」があります。琴をほとんど知らない人でもお正月にはお店などでBGMとして流れていますので一度は耳にしたことがあるかもしれません。この曲は八橋検校(やつはしけんぎょう)という江戸時代前期の音楽家の作品だと言われているのですが、この八橋(やつはし)という名前や、長方形でアーチ状の丸みを帯びた琴の形を見て皆さんは何を連想しますか?
そうです!実は京都土産として有名なあのお菓子は彼の名前が由来とされているのです。八橋検校は茶店の主人に蜜や桂皮末(ニッキ)をお米に加えて煎餅を作ったらどうかと提案、これが京都の堅焼煎餅の始まりだと伝えられています。この後、貞享2年(1685年)その生涯を閉じた八橋検校ですが、琴の名曲を数多く生み出した功績を讃え、琴の形に仕上げた堅焼煎餅に彼の名前が付けられ、300年以上経った今でも京都の代表的な味として親しまれているのです。
今や京都土産の定番となったこのお菓子。昔ながらのパリパリした食感の堅焼き煎餅タイプの他に、昭和に入ってから考案されたモチモチの柔らかい生地で餡を包んだ三角形タイプもありますが、平成30年の京都市の調査では観光客の約4割がいずれかを購入しているそうですよ。