「深イイ話」

by okada
2月 24 2017 年

(第55回愛媛マラソン)

 

皆さんは日本のマラソンの父と呼ばれている「金栗四三(かなぐりしそう)さん」をご存じでしょうか。お正月恒例の箱根駅伝やマラソンのトップ選手達が行っている高地トレーニングの発案者で日本人初のオリンピック選手です。40℃を越える暑さの中で行われたストックホルム五輪(1912年)男子マラソンに出場した金栗さんはレース途中で日射病で意識を失い、目を覚ましたのは翌日の朝でした。もちろんレースは終了していましたのでそのまま帰国したのです。

その55年後にスウェーデン五輪委員会はストックホルム五輪開催55周年記念の式典を開催。式典の開催にあたって当時の大会記録を調べていた委員会は「競技中に行方不明」と扱われていた男子マラソンの記録を発見。金栗さんを招待して記念式典でゴールさせるサプライズを用意したのです。

55年振りにストックホルムを訪れた金栗さんは礼服姿で現れ、競技場内に用意されたゴールテープを切りました。その瞬間「日本の金栗が只今ゴール。時間は54年8ヶ月6日32分20秒3。これで第5回ストックホルム大会は全日程を終了します。」と場内放送が流れたのです。これに応えて「長い道のりでした。この間に私には5人の孫が出来ました」とユーモア溢れるコメントをした金栗さん。スウェーデン五輪委員会の粋な計らいに深イイと感じたお話でした。