ドアをノックする者

by nakata
7月 02 2012 年

ご飯を食べると胃で消化し腸で吸収されます。

吸収された食事は血糖として全身を循環し、やがて筋肉細胞、脂肪細胞、肝臓に蓄えられます。

この血糖が各細胞に入っていく時、血糖だけでは細胞の中に入っていくことができません。

(*ちなみに血糖は長く血液の中にいると血管内皮を傷つけます。血糖は血管の中にいる限り猛毒なのです。ですから早くどこかの細胞の中に入れることが大切です。)

その血糖を細胞の入り口となるドアまで連れて行きノックする案内人がいます。

「インスリン」です。

 

インスリンを発見したカナダのバンティングとスコットランドのマクラウドは1932年にノーベル賞を受賞しています。

インスリンは血液中の血糖濃度が上がると膵臓から分泌され、細胞の表面にある血糖専用のドアを開けるためノックをします。

ノックされた細胞のドアは、健康な人は大きく開いてたくさんの血糖を取り入れますが、 運動不足の人や、栄養過多の人はすでに使われない糖をたくさんため込んでいるため空きにくくなっていきます。

 

このような状態を「インスリン感受性の低下」といい糖尿病の一歩手前の状態です。

インスリンは血糖を下げる(細胞の中に入れる)唯一のホルモンだと考えられていました。

しかし近年の研究でもう一つ血糖を下げる働きのあるものが発見されました。

 

それはなんと「筋の収縮」だったのです。

 

インスリンの感受性が低下した患者さんに自転車こぎを行わせると、正常にインスリンが働いていて安静にしている人の2倍以上の血糖を筋肉にとり込むことが発見されました。

食後血糖値が上がり始める時に運動をすると、薬を飲む以上に血糖値を下げる効果があります。

 

まさに人体の不思議としいかいいようがありません。

神様が「おーい人間よ。文明が発達して運動をしなくなっても、カロリーの多い食事ばかりになっても、怠けちゃいけないよ」というメッセージを送っているとしか思えません。

 

運動は副作用のない良質の薬で、医療費は0円です。 こんないい薬ほかにありませんよ。

さあ糖尿病の人、境界型の人、食後30分後に無料で糖尿病の治療を受けれます。

運動を行いましょう。(ウォーキングでも同様の効果があります)

 

 

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