豪快に「バシャーン!バシャーン!」と泳ぎ、プールでも一際目立つ「バタフライ」。蝶が飛んでいる姿に似ている事からこのように名付けられました。実はこの「バタフライ」は「平泳ぎ」が進化した泳ぎ。平泳ぎのスピードアップを目的として生み出された泳法なのです。
昔の平泳ぎのルールは「両肩を水平に保ち、腕と足は左右対象に動かし、キックはカエル足にする」というシンプルなものでした。平泳ぎでは腕のリカバリー動作を水中で行うので水の抵抗が大きく、推進力が小さくなります。そこで、この腕のリカバリー動作を水上で行えば、より速く泳ぐ事ができるのではないかということで考案されたのが「バタフライ」。
1933年にアメリカの選手が平泳ぎのレースで初めて「バタフライ式平泳ぎ」で出場し、1936年に開催されたベルリン五輪でも数名の選手が「バタフライ式平泳ぎ」で平泳ぎのレースに出場しています。その後、国際水泳連盟は1956年のメルボルン五輪よりルール改正を行い、「平泳ぎ」とは別の正式種目「バタフライ」が作られたのです。
実に20年もの間、「平泳ぎ」と「バタフライ」が同じレースで競われていたなんて今ではとても考えられない話ですが、「0.1秒でも速く泳ぎたい」という選手のあくなき探究心というものは時に国際ルールすらも変えてしまうのです。スポーツというのは本当に面白いですね!