「今年の夏に向けて肉体改造します!」と宣言した筋トレが大好きな後輩。この〝改造〟という言葉の使い方は正解です。
ある人は胸がよく発達しているけれども背中が薄い。ある人は脚に比べて腕が細い。といったように人間の身体は様々。中でもふくらはぎの筋肉は生まれつき太い人と細い人がおり、また腹筋も先天的な差が大きい筋肉で、生まれつき厚みがある人と薄い人がいます。
これらは遺伝子によって決められるもの。つまり人間を造る設計図に記されている情報なのです。最近では遺伝子工学の発達により、筋肉の色々な要素に遺伝が関わる事が明らかになっています。例えばパワー型の筋肉(速筋)やスタミナ型筋肉(遅筋)の割合、骨格の大きさや形の特徴などは基本的に生まれつき持っている性質なのです。
ですから筋力トレーニングを行い自分自身の身体の弱点を克服したり、長所を伸ばしたりする事は可能ですが、それはあくまでも〝改造〟のようなものであって、基本的な設計図の変更ではないのです。
自動車で例えるなら、ある程度の改造でボデーラインや性能を変化させる事は出来ますが、軽自動車をダンプカーにする事は不可能というのと同じ理屈。つまり人の身体は改造しても根本的な性質は変化しないので、生きている間はその影響を受け続ける事になってしまうのです。
雑誌などのモデルさんを見て、「〇〇さんのようになりたい!」と思っている方にはとても夢のないお話になってしまいましたが、これが筋生理学的に見た現実なのです。